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プロを目指すためのお役立ちコラム
原稿料だけではない? 漫画が売れると発生する印税とは?

漫画家になったら「印税で生活できる!」と考えている人も多いのではないでしょうか。漫画が売れれば自動的に懐に入ってくるというイメージのある印税ですが、具体的に印税とはどのようなものなのでしょうか。そこでこの記事では、漫画家になると得られる印税についてまとめました。憧れの職業だからこそ、生活に直結する金銭面についてしっかりと把握しておきましょう。
漫画家の収入の内訳
初めに、漫画家が得ることのできる収入についておさえておきましょう。大きく分けて、原稿料と印税の2つがあります。「ギャラ」という言い方を耳にしたことがあるかもしれませんが、これはギャランティ=報酬を指す言葉で、原稿料に該当するものです。
原稿料について
雑誌や広告などに掲載された漫画に対して支払われるのが原稿料です。一般的には、「ページ単価×ページ数」で支払われることが多いようです。そのため、ページ単価が低いとページ数をこなさなければ、大きな収入にはつながらないということになります。
カラーとモノクロで単価が違うことも多く、大抵は手間のかかるカラーのほうが高い設定です。またページ単価は出版社によって異なります。わかりやすく例を挙げてみましょう。
ページ単価5,000円でモノクロ10ページ描いた場合の原稿料
5,000×10=50,000で原稿料は50,000円
ページ単価10,000円でモノクロ5ページ描いた場合の原稿料
10,000×5=50,000円で原稿料は50,000円
異なるページ数でも、ページ単価によっては同額の原稿料となります。
また、原稿料がまるまる手に入るかというとそうとは限りません。「源泉徴収税」といって、100万円以下の原稿料では10.21%、100万円以上の原稿料では(原稿料-100万円)×20.42%+102,100円を税金として差し引いて支払われることが一般的ですので、覚えておきましょう。
また、原稿料は納品後すぐに支払われるわけではないことも知っておきたいポイントです。多くの場合は、制作物(漫画の単行本など)ができあがった段階で支払いの手続きが行われます。制作にかかる期間は出版社や媒体によっても異なりますが、例えば納品してから制作物ができあがるのが3ヶ月後となった場合、原稿料が手に入るのは漫画を仕上げてから3ヶ月以上は経ってからということになります。
印税について
印税は、描いた漫画が単行本として出版されたときに支払われます。販売単価と決められた率、部数によって金額が決まります。名前に税と付いてはいますが、昔からのならわしでそう呼ばれているだけで、実際には税金の類ではなく、正確には著作権使用料ということになります。
印税について詳しくは次の項目でご説明しましょう。
漫画家に入る印税の種類
漫画家に限るわけではないのですが、印税には契約方法によって主に2つの種類があります。刷った部数分で契約する方法と、売れた部数で契約する方法です。
刷った部数で契約
5,000部刷ったとすれば、たとえ1冊も売れなくても5,000部分の印税が支払われるという契約です。
売れた部数で契約
売り出してから定期的に集計を行い、売れた実部数に基づいて印税が支払われるという契約です。つまり、まったく売れなければ収入にならないということ。ただ「初版保証」といって、初版発行時に印税率を決めておき、一定の収入を保証する契約もあります。
漫画家になるとどれくらいの印税がもらえる?
コミック単行本の印税でいちばん多い設定区分は8~10%ですが、出版社によっても異なるので、これより低いこともあれば高いこともあります。印税は1年分など一定期間を取りまとめて支払われるものなので、発行して売れたからすぐに収入になるというわけではありません。また、単行本にならなければそもそも印税収入は見込めないことも理解しておきましょう。
印税の計算をしてみよう
ここで、仮の想定で印税の計算をしてみましょう。
単行本の単価を500円、税率を10%とした場合、1冊当たりの印税収入は50円です。1,000部売れれば5万円、1万部売れれば50万円、10万部売れれば500万円の収入が得られるということになります。もしも100万部売れれば……人気漫画家になれれば、かなり裕福な生活を送ることができるようになるでしょう。
ちなみに、単行本として発売されるものの多くは、商業誌に連載されている漫画です。雑誌に掲載された時点で原稿料が支払われ、そしてその漫画が単行本として発行されると、印税収入が加わるというわけです。単行本が発行されればされるほど印税収入を得られますが、発行部数や売れ行きに比例して印税も上下することになります。
漫画を描いて得られる収入、印税についてお伝えしました。読者の心をつかみ、ヒット作を生み出すことができれば原稿料はもちろん、印税で高収入を得ることも可能です。逆に人気が出なければ連載が打ち切りになってしまったり、漫画を描く機会もなくなってしまったりする厳しい世界でもあります。だからこそ、挑戦のしがいがあるともいえるでしょう。